施工事例
太陽の光に包まれて、3つの庭を楽しむ住まい。
住まいの提案、北海道。 vol.46
取材・文/三枝史子 撮影/酒井広司
この秋にオープンしたマルワホーム企画の最新モデルハウスは、札幌市との境界に近い石狩市樽川にある。辺りを防風林が彩るのどかな住宅地で、1区画平均80坪台というゆったりとした住環境が魅力だ。土地価格は札幌と比べておよそ3分の1から4分の1程度。土地代が安く抑えられた分、建物に予算をかけられるのがうれしい。モデルハウスは同社が管理する26区画の一角にあり、すべての家が完成すれば統一感のある、ちょっとしたまち並みが形成されるはずだ。
モデルハウスが建っているのは北東向きの角地。ユニークなのはこの家が道路に対して斜めに置かれていることだ。通常であれば、道路と並行するように建物を配置するところだが、ひまわりのように太陽と向き合う暮らしを優先させたのである。つまり、真南の方向から入る明るい光でリビングとダイニングを満たそうとすれば、敷地に対して建物が斜め45度にふれるというわけだ。
太陽の向きに合わせて建物を斜めに配置したことで、単に「明るい家」というだけでなく、暮らしの楽しみも広がった。敷地に余白が
生まれ、趣の異なる3つのガーデンスペースを確保できたのである。それぞれのスペースにはウッドデッキが設けられ、内と外を行ったり来たりしながら空間の広がりを味わえる。
ひとつ目の庭はリビングとダイニングの両方に隣接し、ダイニング側の洗面コーナーから直接デッキへ出ることが可能だ。朝の光を浴
びながら身支度し、心地よい風を感じてモーニングコーヒーなんてことも。ふたつ目がメインとなる庭で、南のリビングに面した大きなテラスが自慢。正面に防風林を望み、家族でバーベキューを楽しんだり、水遊びのプールを置いたり。敷地にテントを張ればミニキャン
プの気分を満喫することもできる。そして、3つ目は小上がりタイプの和室とつながる小さな和風庭園。周囲はコンクリートの塀で囲ま
れ、心おきなくプライベートタイムに浸ることができるのだ。
朝は新鮮な光で目を覚まし、昼は燦々と降り注ぐ日差しをたっぷりまとい、夕方は赤く染まる空に明日への活力をもらう。東から西へ移動する太陽を感じながらの暮らしは、それだけで心が満たされるに違いない。
季節や時間帯によって場所を変える日だまりは、住空間のあちこちに描かれるしあわせの模様だ。無垢の床の素材感をくっきりと浮かび上がらせたり、障子のやわらかな質感をなぞるように照らしたり。住まいの表情にさらなる温もりを与えてくれるのである。
ハイサイドライトの光が照らすストレート階段は吹き抜けのアクセントになっており、圧迫感のない手すりとスケルトンなデザインが美しい。
軽やかな気分で2階に導かれると、正面に折りたたみ式のカウンタースペース。ここは「寺子屋」と命名されたじゅうたん敷きの小上がりで、3人並んで座ることができる。子どもがお絵描きしたり本を開いたり、その横でパパはパソコンをと、親子で使えるコミュニケーションの場なのだ。
また、趣味の部屋として可動式の本棚とガラスのショーケースを配した一室も設けられている。
住まいづくりの原点は、あくまでも居心地のいい場所をつくること。人生を愉しく朗らかに生きるために、家庭がマルく和やかであるように。
Data
- 敷地面積/278.71㎡(84.14坪)
- 延床面積/123.15㎡(37.17坪)
- 1階面積/61.91㎡(18.69坪)
- 2階面積/61.24㎡(18.48坪)
- 工法/木造在来工法
- 基礎/基礎断熱工法
- 断熱材/付加断熱(BIBドライ工法・押出発泡ポリスチレンフォーム)
- 屋根材/ガルバリウム鋼板
- 外壁材/ガルバリウム鋼板0.4mm 小波 エスケー化研 ベルアート キャニオン スタンダード・ウォール とど松 節有
- 内装材/ビニールクロス CUBIC”MIXカラー”ナラ
- 床材/ナラ W90 ラステッィク(SeeGeL)
- 開口部/Low-E クリア(LIXIL)
- 暖房/PS暖房
- キッチン/オフェリア(Takara standard)
- バスルーム/リラクシア(Takara standard )