施工事例

夏も冬も楽しい、縁側と薪ストーブのある住まい。

住まいの提案、北海道。Vol.67

取材・文 / 三枝 史子

最初から一軒家志向。結婚の翌年に理想の住まいが完成。

 「結婚したら家を建てよう」と話していた。Aさんご夫婦は、ともに一軒家で育ったこともあり庭付きマイホームはごく自然なことだった。たまたま本誌・住まいの提案北海道でマルワホームの住宅実例を見つけ「木製ルーバーや無垢材を使ったおしゃれな住空間」に魅せられ、同社へアプローチ。オープンハウスの見学を通して、この会社なら自分たちの希望が叶いそうだと確信したという。

庭に面した縁側は目隠しの塀に囲まれ、プライバシーが保たれる憩いの空間。

新築に際して、どうしても譲れないことがあった。ご主人のバイクを収めるビルトインガレージ、リビングに薪ストーブ、そして住空間に変化を付けるスキップフロア。この3つは外せない条件であり、実際、マルワホームと出会う前は何社かで見積もりを取ったが、いずれも予算オーバーで夢を実現できずにいたのだ。マルワホームでそれが可能となったのは「本物のオーダー住宅を手の届く価格で提供する」ことを使命とし、柔軟なアイデアと粘り強い設計力で応えるためだ。3つの要望を満たしているばかりでなく、各所の収納スペースも充実、縁側といった潤い空間も備えられ、期待以上の住まいとなった。

玄関の奥にシュークロークを備えた家族用スペース。ここからガレージ、キッチンへの動線が続く。
車とバイクが収まるビルトインガレージ。ここで愛車をいじるのも楽しいひととき。

 同社の仲山幸仁社長は「企業努力といってしまえばそれまでですが、素材の使い方を1階と2階でメリハリをつけるなど方法はいろいろあります。何より、ご夫婦のやりたいことがハッキリしていたのでプランを組み立てやすかったですね」。こうして入籍翌年の2021年12月に理想の住まいが完成し、生涯忘れられないクリスマスプレゼントとなったのである。

リビングの一角に札幌軟石を積んだ薪ストーブコーナー。冬の間はほぼ毎日薪がくべられる。

やりたいことを自分らしい言葉で伝える住まいづくり。

 「主人も私もアウトドアが好きで芝生やテラスのある庭でバーベキューができたらいいねと、話していました。縁側でお酒を飲んだり、暑い日はアイスを食べたり。そんなことができたら最高だねと。仲山社長からはインスタなどの画像でイメージに近いものがあったら持ってきてといわれ、私と主人で何枚以上とノルマを決めて理想を正確に伝えられるようにしました。いざ、打ち合わせ時に出してみるとふたりの趣味や好みがぴったりで(笑)」。

ダイニングの上の吹抜けからは光がたっぷり降り注ぎ、明るく健やかな気分を誘う。階段の踊り場の下はワイドな収納空間になっており、おもちゃの整理や季節品の収納にも便利。

奥さまは「寝たくなるような家」「昇りたくなるような階段」と独特の感覚で住まいの理想を言葉にし、これを受けて仲山社長はかなり頭をひねったという。その回答として、「空間いっぱいに光が降り注ぎ、日向ぼっこをしながらついウトウトしてしまう心地よさ」、「階段を上り下りするたびに景色が変わる、わくわくするような楽しさ」を空間全体に盛り込んだ。無垢のナラ材を使ったフローリングは上質な雰囲気を醸し出し、歩きはじめたお子さんの素足にもやさしい。スキップフロアのリクエストに応じて設けた階段の踊り場は電子ピアノを設置したフリースペースとして活用され、下部はワイドな収納空間、上部には大きな窓のある吹き抜けスペースに。自然のぬくもりが感じられること、上下階のほどよいつながりといった要望もしっかりカタチにされている。「ソファに寝ころんだとき、窓から見える空が気持ちいい」。ご主人はそんな言葉でよろこびを表現した。

踊り場の下は広々とした収納空間。踊り場から2階へ上がるステップを一部スケルトンにしているのもユニーク。
階段の踊り場を利用してピアノが弾けるフリースペースを。頭上の吹抜けが開放的。

趣味の時間も充実。暮らしの自由が広がった。

 キッチンに仲良くふたりで立つことも珍しくないというご夫婦。お気に入りの調理道具やデザインのいい電化製品がきれいに並ぶ棚からも、センスのよさがうかがえる。機能面だけでなくその佇まいが「顔」になるキッチンをと、空間のアクセントになる天井の木板にもこだわった。キッチン左手にはガレージと家族用玄関からつながる裏動線が設けられ、買い物を直接パントリーに収めるにも便利だ。

いっしょにカウンターに立つ姿も絵になるおふたり。ハイサイドライトからの光も入り、料理する時間も楽しくなるキッチンだ。

 階段の踊り場のほかにも2階にはゆったりしたフリースペースがあり、ご主人のギターとアンプが置かれている。同じフロアのバスルームで入浴を済ませたあと、そのままギターを鳴らすのも楽しい習慣となった。

2階フリースペースで家族を前にギターを披露するご主人。

「この家で暮らすようになって音を気にしなくていいのがうれしいですね。いろんな意味で自由になったような気がします」と奥さま。ご主人は「家の中はもちろんですが、庭に水を撒いたり外の空間まで好きに使えるのは一軒家だからできること。冬は毎日のように薪ストーブを焚き、ピザやグラタンを焼いたりして楽しみました。生活スタイルがおおらかになったのは間違いありません」。これからは畑をつくったり花を植えたり、ますます楽しみが広がりそうだ。

玄関からキッチンに至るプライベートな動線には、帰宅後すぐに使える手洗いカウンターが。
手洗いのすぐ横にあるトイレは淡いピンクのクロスにペンダントライトの柔らかい光が照らされる癒しの空間。

設計のポイント

  • 住空間と庭をつなぐ縁側風のウッドデッキを設置し、家族の憩いの場に。
  • 来客用とは別にガレージに直結する家族用玄関を設け、キッチンに至る裏動線を設置。
  • 薪ストーブのあるファイヤースペースは札幌軟石で仕立て、リビングの見せ場に。
  • 空間に楽しい変化をもたらす階段の踊り場を設け、下部はワイドな収納空間として活用。
  • 踊り場上部は開放的な吹き抜け空間とし、ハイサイドライトからも光がたっぷり。

Data

  • 敷地面積:300.03㎡(90.75坪)
  • 延床面積:144.32㎡(43.65坪)
  • 1階面積: 83.57㎡(25.28坪)
  • 2階面積: 60.75㎡(18.37坪)
  • 工法/木造軸組工法
  • 基礎/鉄筋コンクリート布基礎+基礎断熱
  • 断熱材/内壁+付加断熱
  • 屋根材/ガルバリウム鋼板
  • 外壁材/ガルバリウム鋼板+道南杉
  • 内装材/ビニールクロス
  • 床材/ナラ無垢フローリング
  • 開口部/樹脂サッシ
  • 暖房/セントラルヒーティング+薪ストーブ
  • キッチン/タカラスタンダード社製
  • バスルーム/タカラスタンダード社製
  • その他/造作洗面化粧台
  • 竣工年月/2021年12月
  • 家族構成/ご夫婦+子供1人
  • 工期/150日
  • プラン/フリープラン

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